
『食は人の天なり』(「みをつくし料理帖」より)
早いものでもう2月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
緊急事態宣言も延長となり、お家で過ごす時間がまだまだ多いのではないかと思います。
今回は、お家時間で読書や料理に触れる機会の増えたサイトウより、おススメの一冊を紹介致します。
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昨年春より自宅で過ごすことが多くなり、読書や料理をする時間が増えました。
過去に読んだ本の中で、今、改めて読み返している本が「みをつくし料理帖」(高田郁さん著作)です。
シリーズ合計で400万部の発行部数の大ヒット作であり、ドラマや映画化もされている江戸時代を舞台にした小説です。
皆様の中にも愛読書とされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本作に出会ったのは10年以上も前で、根っからの食いしん坊の嗅覚からか、ふと本屋さんで目に止まったこの本を手に取り、読み始めたら、グイグイとその世界に引き込まれました。
"澪(みお)"という、二十歳に満たない、上方(現在の大阪)出身でありながら訳あって江戸に移り住むことになった、天性の味覚と技量、そして人を美味しいご飯で喜ばせたいとひたむきに精進する気概を持つ、料理を生業とする女性が主人公です。この小説が大好きすぎて、思わずネタバレしてしまう細かい情報を書いてしまいそうですが、グッと我慢、我慢・・・・。
でも、この小説の中で、最も心に残った一節をご紹介させてください。それが『食は人の天なり』です。
元々は、吉田兼好の「徒然草」に書かれている言葉で、「食は天の如く重要なものだ。美味しい料理を作る人は、大きな徳を持っていると言わなければならない。」という意味だそうです。
食べたものがその人を創るもの。食はひとびとの命を繋ぐ大切なもの。心を尽くして作られた料理は人の生活を満たしていくもの。
コロナ禍、健康の大切さに向き合う時間が増えてきた今だからこそ、この言葉が一層染み入ります。
小説「みをつくし料理帖」には、澪さんが心を込めて作った、旬を感じさせるお料理が随所に出てまいります。文庫本には、そのレシピがその巻末に紹介されていて、読者も自分でそのレシピを再現し、改めて「みをつくし料理帖」の物語に浸ることができます。
私も拙い料理の腕ではありますが、「みをつくし」の料理にチャレンジしてみました。
●「とろとろ茶碗蒸し」
たまご1対だし3.5の割合が基本とのことですが、ご自身の好みの「とろとろ」加減を見つけるのも楽しそうです。
出来上がった「とろとろ茶碗蒸し」は、文字通りほっぺたが落ちそうなくらいとろとろした滑らかさと、海老や百合根、銀杏とのハーモニーが格別でした!
●はてな飯
「はてな飯」の主役は「戻り鰹」。2月の今は鰹が旬ではないので、今回は「サーモン」に切り替えて、勝手にアレンジしちゃいました(苦笑)。サイコロ状に切ったお魚を時雨煮にして白ごはんに混ぜて頂きます。たっぷりの生姜と海苔の風味が「はてな飯」を引き立てます。なぜ「はてな」なの?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらはぜひ本を読んでみてくださいね!
本名作シリーズの数々のレシピ、ぜひ皆様もお試しあれ。
まだまだ寒さが続きますが、滋養あふれる食で心身を健やかに保てますように・・・・
